こんにちは、イノーバ代表の宗像 淳です。今日は、弊社が2021年から実施している「ベストプラクティス」という取り組みについて紹介します。
マーケティング支援会社であるイノーバでは、ノウハウが属人化しがちという課題がありました。その結果、仕事が特定の人に集中する事が多かったのです。人材育成が進まず、難しい案件を受ける事が出来ない、頑張って受けてしまうと案件が燃えてしまう、簡単な案件だけ受けると社員が成長しない、という経営的なジレンマに陥っていました。(これは、マーケティング支援をやっている会社なら、大きくうなずいていただけることだと思います)
そこで、マーケティング支援以外の場にヒントを求めました。そして、「医療」にヒントがあるのではないかと思ったのです。アトゥール・グワンデのChecklist Manifest(邦題:なぜあなたはチェックリストを使わないのか?)を読んだのが医療業界に興味を持ったきっかけなのですが、医療現場は、患者(=お客様)が、色々な症状(=マーケティング課題)を抱えて病院を訪れる。そして、往々にして、自覚している症状の背後に、その症状を引き起こしている原因(=マーケティング上のボトルネック)があり、それを解消するために大小さまざまな治療が必要であり、対処療法で有効な場合(=施策をちょっと変えるだけでオッケーな場合)もあれば、徹底的な根本治療(=組織とか、戦略とか、抜本的な介入)が必要なケースもある。
そして、以前に、留学先のフィラデルフィアで講演をお聞きした、日野原重明先生が勤務されていた聖路加国際病院のことを調べているうちに、医療の現場では、「症例検討会」というのを実践しているというのを知ったのです。症例検討会というのは、患者さんの診断や治療法などについて、お医者さんや看護士さんが、担当している科を越えて集まり、意見交換することです。
これは素晴らしいと思いました。イノーバでも、医療現場の「症例検討会」のように、組織内で知見を共有し合う場を設けることで、我々の抱えている、「ノウハウ属人化問題」を解決できないかと考えました。そして、弊社をコンサルティングしてくださっている白潟総研の石川哲也さんから、リクルートが実践されていた、「ベストプラクティス」の事例を教えていただき、イノーバさんでも実践されてはいかがですか?と提案を受けたのです。当然、一も二もなく、イノーバでも「ベストプラクティス」を開始することにしました。
2021年にスタートした「ベストプラクティス」は、半年ごとに年2回実施しており、今年で4年目に突入しています。当日は、社員による高レベルな発表が行われ、参加者全員が集中して聞き入るため、発表者も参加者も疲れ切るほどです。しかし、マーケティングノウハウが凝縮されたこの取り組みは、イノーバの自慢の制度となっています。
発表テーマは多岐にわたります。AIを活用した業務効率化や品質向上、コミュニケーションスキルの向上、案件管理の改善、営業スキルの習得、ディレクターの舞台裏、コンテンツマーケティングの改善など、実践的な内容が数多く共有されています。
では、以下に、昨日のベストプラクティスに対する社員の声を紹介しますね。
・千里さんの発表で、編集さんのOJTの内容が知れて勉強になりました。手厚い…!仮に新しいライターさんが入社されたら真似できるなと思いました。
・宮坂さんのワークが有意義な理由が5つの仕掛けに詰まっていて、何かを教える、話すなどのシーンでは私も仕掛けを意識したいと思いました。
・松村さん、ブルベリAIがよかったです!!(AIの活用がやっぱりレべチです。私は単発でAIに依頼しがちなので、対話をもっと大事にしようと思いました。)
・栗原さんの資料ってもしかしてAIで作られてる?と思ったら本当にそうでびっくりしました!!Xをおもろポスト発見の場だと思っている節があるので、AI情報リストを真似して情報強者になりたいと思います。
発表されたみなさま、お疲れ様でした!それぞれの仕事ぶりとか、課題や取り組みに対する考え方とかが知れて、とても面白かったです。個人的には遠藤さんの発表がとても印象に残りました。
AIというとついコンテンツ制作の方面で使おうとしてしまいがちですが、自分の業務にAIを活かす方法はいくらでもありますね。
・ プレゼンのまとめ方や言語化がとても参考になった。AI活用については制作部が社内でも進んでいる方だと感じた。ぜひ社内に広げてほしい…!
・上西さん発表の「認知→思考→行動」と横山さん発表の「確連報」を合わせると、
「課題認知→思考・仮説→確認→行動→連絡・報告」…?「仮説思考を踏まえた確認」が大事だと感じた。
今日は皆さんの発表からいろいろなことをインプットできました。AIの活用例もたくさん伺えましたし、すぐに業務に取り入れたいノウハウなども知ることができました。最近全社チャットでもいろいろと気になる学びが流れてくるのと、今日のべスプラでももう一度拝見したい発表内容がたくさんあったので、インプットの時間がもっと必要です…そして脳みそのリソースも増やしたい。
初のべスプラは部署の垣根を越えて皆さんの課題や取り組みを伺えて、とても勉強になりました。
今日のベスプラで「これは私もやってみたい」がたくさんあったので、自分の課題に一番効きそうなものから取り入れてチャレンジする。
べスプラでいろんなナレッジが聞けて良かったです。AIに苦手意識があった自分は、山本さんの「まず使ってみよう」と「思った通りのアウトプットでなくても、ここでは使えた」に共感しました。
みなさんが試行錯誤して業務に取り組まれていてることを改めて感じた。
生成AIについてさまざまな有益情報を得ることができました!ベスプラはこれがあるからいいなと思います。特にディレ業務に関連して宮崎さんのeditGPTが便利だなと感じ、すぐにダウンロードいたしました。また、他部署との交流もオフラインならではのことで、梅村さんからGeminiが Googleと連動しているからいいよとご共有頂けました。来週から使っていきたいです。
皆さんのベスプラ共有、刺激になりました。出社してた時代に比べると普段の業務で刺激をうけることは少なくなっていたので改めて大切なイベントだな、と。(宗像注:イノーバでは、従来リモートワーク100%でしたが、今後は、適宜出社して、ハイブリッドな環境にしたいと思っています)
たくさんの方の活動を聞けて学びが多い一日でした。AI活用の内容が多い印象でしたが仕事の進め方だったり物事の思考方法の部分でも参考になりました。自分は特に自走力だったりメンバー間でのやりとり工数の多さに課題感があると思っているのですが、Claudeでロープレ相手やFB相手をしてもらうなどの活用方法を知れて学びになりました。自分でも今後うまく活用していこうと思います。
〇〇チーム(注:某お客様の社名で専任チームなので、社名+チームで呼ばれてます。)のべスプラはいつもレベルが高くて驚かされますが、今回は更にすごかったですね。みなさんの発表は今すぐ真似したいtipsも、レベチのtipsもあっていい刺激をいただきました。日報を使って何かを積み重ねていくスタイルは良さそう。せっかく毎日使うものなので、ただ気持ちをしたためるのではなく、何かをアウトプットしたり蓄積したりするために工夫してみよう。
初めて発表したベストプラクティスで銅賞をいただきました!皆さんの発表を聞いて自燃性のある方が非常に多い印象を受けて、今期も頑張っていきたいなと刺激をうけました
みなさんの発表を拝聴して、自分のAI活用のレベルがまだまだだと再認識。悔しさみたいなものが沸き上がってきているのを実感。鉄は熱いうちに打て⇒有料プランを契約してISとして出来ることを相談する!
部内の方々の発表も、部外の方々の発表も、とてもおもしろく刺激になりました。朝、自分の仕事がうまく行ってることをイメージしてテンション上げました。自分はライターなのでマネできるところとできないところがありますが、A社様とこちらの目指す所は一緒なのだから、その思いをもっとあつく持てば、それが自ずと文章に現れていい方向に行くのかもしれないと思いました。
小野さんの商談の録画の話、今の業務には関係ないですが気になりました。宗像さんのキックオフ商談も気になる。少年ジャンプ的な言い回しの遠藤さんの発表に元気をもらいました。横山さんと宮崎さんの話すテンポや順序がわかりやすく、どこか心地よかった。みなさんの話し方、校正ツールや、クライアントを好きになる意識も参考にしたい。内容もあるけど、淡々と話しすぎたことを反省。それとZoomだと部屋が暗くなってしまう。制作Gのみなさんも発表お疲れ様でした!
皆様本当にお疲れ様でした!久しぶりの緊張感を味わいました…。皆様の発表内容はもちろんですが、資料の見せ方、内容の伝え方も勉強と刺激になりました。AIとか言ってる場合でなく、しっかりと自分に目を向けて努力を続けようと思えました。感謝の1日です。ありがとうございます!
いかがだったでしょうか?上記はほんの一例ですが、雰囲気は伝わったでしょうか?
イノーバは、「ベストプラクティス」を通じて、社員一人ひとりが自らの知見を形式知化し、組織全体で共有することで、業務効率化とスキル向上を実現しています。
私は、日本をマーケティングで元気にしたいという想いで、イノーバを創業し、経営しています。社員も、同じ想いで働いています。そして、僕は、この思いをもっともっと広めていきたい、と思っています。
仕事がら同業他社さんとお会いする事もありますが、マーケティング支援業は、とても課題を抱えた業界だなとも思います。社員に過大な負荷がかかって燃え尽きてしまう会社もありますし、逆に、仕事をルーチン化していまっていたり、営業力だけに頼って、解約が出るとか、社員が辞めてしまう会社も多いです。そして、多くのマーケティング支援会社が(あるいは、そこで働いているマーケターの方々が)、その会社の想いとか、ビジョンを忘れてしまっているケースが非常に多いなと思います。
僕は、生成AIが発達している現代だからこそ、我々人間は、想いとか、夢とか、そういうものに立ち帰る必要があると思います。
日々生成AIを使っていて思いますが、すでにAIは人間の能力を超えています。これは事実だと思います。ファナックの工場で、ロボットがロボットを作り出しているように、ソフトウェアがソフトウェアを作り出す時代がきました。AIは、世界中の叡智を飲み込んで、”The One”、唯一の絶対的な叡智にでもなろうとしているのです。
一方で、我々は、合理性だけで生きている訳ではありません。世界は、なぜ、かくも矛盾に満ち溢れ、そして、なおかつ美しいのでしょうか?それは、その多様性、そして、矛盾や混沌、葛藤があるからこそ、世界は美しいのではないでしょうか?
だとすれば、AI時代に、我々が追求するべきは、我々の、「夢」、「想い」なのだと思います。僕は、新卒で、富士通という会社に就職しました。富士通の「夢をかたちに」というスローガンが大好きで、そして、沼津工場に飾ってあった、初の国産コンピュータを見て、胸を躍らせました。そして、国産コンピュータを生み出した、池田敏雄さんのエピソードを聞き、わくわくしました。
結局、仕事ってそういう事なんじゃないでしょうか?生きるってそういう事なんじゃないでしょうか?
もともと、イノーバのベストプラクティスの紹介からスタートした文章ですが、あえて、大きく脱線してみました(笑)
最後に、僕が、人生で出会った最高の文章を二つ紹介します。一つは、岩波文庫の創刊の辞。そしてもう一つは、コクヨさんの創業の辞です。
どちらも想いがこもっています。疲れた時に読むと元気がもらえますよ。
読書子に寄す
――岩波文庫発刊に際して――
岩波茂雄
真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。かつては民を愚昧ならしめるために学芸が最も狭き堂宇に閉鎖されたことがあった。今や知識と美とを特権階級の独占より奪い返すことはつねに進取的なる民衆の切実なる要求である。岩波文庫はこの要求に応じそれに励まされて生まれた。それは生命ある不朽の書を少数者の書斎と研究室とより解放して街頭にくまなく立たしめ民衆に伍せしめるであろう。近時大量生産予約出版の流行を見る。その広告宣伝の狂態はしばらくおくも、後代にのこすと誇称する全集がその編集に万全の用意をなしたるか。千古の典籍の翻訳企図に敬虔の態度を欠かざりしか。さらに分売を許さず読者を繋縛して数十冊を強うるがごとき、はたしてその揚言する学芸解放のゆえんなりや。吾人は天下の名士の声に和してこれを推挙するに躊躇するものである。このときにあたって、岩波書店は自己の責務のいよいよ重大なるを思い、従来の方針の徹底を期するため、すでに十数年以前より志して来た計画を慎重審議この際断然実行することにした。吾人は範をかのレクラム文庫にとり、古今東西にわたって文芸・哲学・社会科学・自然科学等種類のいかんを問わず、いやしくも万人の必読すべき真に古典的価値ある書をきわめて簡易なる形式において逐次刊行し、あらゆる人間に須要なる生活向上の資料、生活批判の原理を提供せんと欲する。この文庫は予約出版の方法を排したるがゆえに、読者は自己の欲する時に自己の欲する書物を各個に自由に選択することができる。携帯に便にして価格の低きを最主とするがゆえに、外観を顧みざるも内容に至っては厳選最も力を尽くし、従来の岩波出版物の特色をますます発揮せしめようとする。この計画たるや世間の一時の投機的なるものと異なり、永遠の事業として吾人は微力を傾倒し、あらゆる犠牲を忍んで今後永久に継続発展せしめ、もって文庫の使命を遺憾なく果たさしめることを期する。芸術を愛し知識を求むる士の自ら進んでこの挙に参加し、希望と忠言とを寄せられることは吾人の熱望するところである。その性質上経済的には最も困難多きこの事業にあえて当たらんとする吾人の志を諒として、その達成のため世の読書子とのうるわしき共同を期待する。
昭和二年七月
経営の信條
人は無一物でこの世に生を享け父母の恵み、
恩師の導き、社会のお陰によって心身ともに成長し、
やがて社会に出て一つの仕事を与えられる。
それは天より授けられた天職である。
天職には貴賤の別なく、人が生ある限り
自らの全力を尽して全うせねばならぬ。
天職を全うするには人の信を得る事が最も大切である。
人に信を得る最善の道は自ら誠を以て実行する事である。
真心を以て買い、造り、そして売れば人おのずから信用し、
人に信用を受ければ天職はおのずから全うしうる。
誠心誠意不言実行 ― 之が私の経営の信條である。