【新年ご挨拶】イノーバの宗像から、デジタルマーケティングの2021年を振り返り、2022年の展望を語る:前編

今回は2022年初記事ということで、イノーバ代表の宗像から、「2021年を振り返り、2022年・その先の展望を語る」というテーマでお話させていただきます。

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皆様、新年明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 さて、2021年、コロナ禍の2年目も終わり、2022年となりました。皆様にとっても、2021年は大きな節目となったのではないでしょうか。

 恐らく2020年、コロナ禍が始まった年は、どの程度コロナ禍が続くのかもわからず、様子見状態で大きな動きができなかった企業も多かったのではないかと思います。しかし昨年・2021年は、コロナ禍の長引く予想が発表され、この状態が一過性のものではない、ある程度継続するという認識が広まったことで、今からビジネスにも動きを起こさなければ、というマインドチェンジが起き、アクションにつなげる企業が一段と増えました。

 マーケティングの分野で言えば、デジタルマーケティングの推進・マーケティングDXが大きく進んだ年でした。早い企業であれば検討段階を終え導入・実行フェーズに入っていきましたし、これから取り組む企業であっても少なくとも情報収集をはじめている、という状況であったと思います。あらためて福田康隆氏の『The Model』を読み直して分業組織体制や管理の方法を学んだりした方もいらっしゃるでしょうし、Zoomを活用してウェビナー施策に取り組んだ方、社内の名刺を電子化してメールマガジン施策を始めた方等もいらっしゃるでしょう。

 

 ただそこで私が危惧しているのは、マーケティングや営業のデジタル化を推進する中で、「売り手目線」の取り組みになりすぎていないか?ということです。ここではまずそれについて警鐘を鳴らしたいと思っています。

 どういうことかというと、マーケティングに取り組むにせよ、インサイドセールスに取り組むにせよ、お客様は基本的に「売り込まれるのが嫌い」です。

 例えば4~5年前くらいに名刺交換した会社に商品紹介のメールマガジンをいきなり送っても、鬱陶しがられて配信解除されてしまいます。今流行の「ウェビナー」を企画する際にも、何を話したらいいかわからず商品紹介をメインにしたウェビナー企画を組んでしまう方もいますが、大抵「なぜか集客できない」と頭を抱えるようになってしまいます。お客様は売込みのメールも、売込みのウェビナーも、どちらも求めていないからです。

 今本当に必要になってきているのは、もう一度「お客様がどういう方々で、何に困っていて、どういう課題解決を求めているのか」ということを、お客様の立場に立って考えなおすことです。2021年はいろいろな施策に取り組み始めた結果として、このようなことにあらためて気づいた、という方が少しずつ出始めました。逆に、まだ気づいていなかったという方は、見直すきっかけにしていただければ何よりです。

 そもそも企業はお客様の課題を解決することでお金をもらっているはずなので、自分たちがどのような課題を解決しているのか、皆が分かっていて明言できる必要があります。しかし実際のところマーケティング施策に取り組むときに、売込みの観点が捨てられない、競合他社との違いばかりに目が向きすぎている…その結果、性能の良さや値段で売り込んでしまい、お客様の課題やニーズが置き去りになってしまっている。顧客視点がすっぽり抜け落ちてしまって、お客様の課題がなんなのか言えない人が多すぎるのです。

 自社はどんな業種・企業規模・部署の方をお客様としているのか再定義し、その方たちはどんな課題がありどのようにサービスを届けていくべきなのか、ということに向き合わなければ、マーケティング施策を打つにしても大量のメルマガや大量のウェビナーで売り込んでしまう、サイトにお金をかけてリニューアルしたとしてもその効果がほとんど得られないでお金を無駄にしてしまう…といった事態が起きてしまうのです。

 

 2021年は「始めた年」であったと思います。それはそれで意味のあったことだと私は思いますが、2022年は「お客様目線で見直す年」、やるかやらないかではなく、どうやるか、どうお客様に届けるか、ということに意識を向けないといけないのではないかと思います。

 どう届けるかというところで皆様に考えていただきたいのは、ご自身が消費者や購買担当者であるときに、どのようなサイトで買い物しているか、どのようなメルマガをもらうと役立つと感じ、どのようなメルマガは嫌だと思うのか、そういった自分がお客様の立場だった時の感性についてです。そちらを仕事の面でも考えていく必要があります。Amazonでついつい買ってしまうのは、Amazonだと欲しい商品が見つかりやすいという点があると思うんですよね。別にワンクリックだからAmazonで買っているわけではないと思うんです。そうした、お客様の心理や、なぜ買ってくれるのかという動機に関して、ご自身の仕事にも当てはめて考えていただければと思います。

 今年2022年は、特にデジタルマーケティングを本格的に行う会社がさらに増えると思います。イノベーションの普及理論というのがありますが、例えばオンラインセールスがここ2年ぐらいで一気に普及しました。営業さんがお客様に対面で会えない、となったときにオンラインセールスを取り入れた・当たり前になった会社は多いですし、今オンラインセールスを手段として持っていなかったら相当少数派かと思います。オンラインセールス自体はキャズムを超えたと言えるわけです。ただ、オンラインセールスを推進したところで、そもそもお客様が商談したいと思わなければ意味がないわけです。商談を作らないとオンラインセールスは機能しない、ということです。そこで、いかに商談を作るのか?ということに意識が向き始め、サイトの見直し、マーケティングオートメーションの導入、ホワイトペーパーやウェビナーの作成等のデジタルマーケティング施策に取り組み始めた企業さんも一気に増えました。

 デジタルマーケティングにより商談を生み出し、オンラインセールスで受注につなげていく。この流れが効果的に行えれば、確実に売上・成果を伸ばしていくことができます。そのためにも、どのように行うか、どうやってお客様の視点に立ち、お客様の課題に対し必要とするものを提供していけるか、ということを大幅に「見直す」1年になると良いなと考えています。

 ここまで読んでいただきありがとうございます。イノーバは日本をよくしたい、日本の良さを世界に改めて伝えていって世界をよくしたい。それを先導していき、日本の企業の変革・成長をお手伝いしていきたいと常に考えております。その軸は2022年もぶらさずに行っていければと思いますので、ぜひ引き続き本年もよろしくお願い申し上げます。

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長くなってしまいましたのでご挨拶はこのくらいにし、次回の記事で「デジタルマーケティングにおいて具体的に2022年フォーカスを置くべきところ」、「各業界の動き、世界の動きに関する展望」についてお届けしたいと思います。

 

ABOUT US

宗像淳
1998年に富士通に入社、北米ビジネスにおけるオペレーション構築や価格戦略、子会社の経営管理等の広汎な業務を経験。 MBA留学後、インターネットビジネスを手がけたいという思いから転職し、楽天で物流事業立ち上げ、ネクスパス(現トーチライト)で、ソーシャルメディアマーケティング立ち上げを担当。ネクスパスでは、事業開発部長として米国のベンチャー企業との提携をまとめた。 2011年6月にコンテンツマーケティング支援の株式会社イノーバを設立、代表取締役に就任。 著書『商品を売るな コンテンツマーケティングで「見つけてもらう」仕組みをつくる』(日経BP社)、『いちばんやさしいコンテンツマーケティングの教本 人気講師が教える宣伝せずに売れる仕組み作り』 (『いちばんやさしい教本』シリーズ」、インプレス)