これからのSEOに求められるのは量か、質か?

こんにちは。イノーバマーケティング部の眞道です。普段は自社のSEO記事やホワイトペーパーの制作ディレクションをメインに務めています。

今回はイノーバマガジンの(私の)初回執筆として、「これからのSEOに求められるのは量か?質か?」ということについて書いてみたいと思います。

コロナ感染拡大を受け、オンラインマーケティングの取り組みの重要性は増すばかりで、施策としてSEOに取り組む企業は今まで以上に、加速度的に増えています。

そのような中、「他社に追随する形でSEO施策に取り組んでいるが、思うように成果があがらない」といった声も多く聞くようになりました。

SEOで成果があがらない要因

SEOで成果があがらない要因

上図に示したように、SEOで成果があがらない要因はたくさん考えられますが、今回特に触れたいのは「SEOライティング技術の大衆化によって、他社との差別化のハードルが上昇してきている」という点です。

SEO競争が激化する中、各社のライティング技術は向上、一般にも広く普及し、今では少し勉強すれば誰もが一定水準のSEOライティングを出来るようになりました。文章の構成(アウトライン)の作り方もある程度確立されているものがありますし、キーワードの選定も無料で便利なツールがどんどん増えています。クラウドソージングでも一定の品質の記事を安価であげてくれるライターさんは山ほどいます。

技術の大衆化によってライティング面だけでは差別化がしづらくなったので、同じような記事を出した場合に、被リンクを多く長く獲得しているドメインパワーの強い企業の方が成果をあげやすい、という「先発優位」の状況がうまれているのではないかということです。

実際コンテンツマーケティングの黎明期からSEOに取り組んできた弊社でさえ、いわゆる一般的SEO記事を量産するだけでは従来に比べて効果が上がりづらくなってきているなと感じます。

2021年に求められるのは「質」を追求したコンテンツ

SEO競争が激化、飽和状態にあり、差別化の難易度が上昇している2021年は、「質」を追求したコンテンツがより求められている、とイノーバでは考えています。

先述したように大衆化したSEO技術を使って書くだけでは差別化が難しいので、多少時間やリソースを割いてでも、他社との差別化のために「質」を追及していく必要があるというわけです。

「じゃあ質ってなんだ?」という話になると思うのですが、質とは何かと考えれば、「記事の価値創出のパターン」というものをいろいろ示すことができます。

記事の価値創出のパターン

他にも色々と質を高めるアプローチがあるはずなので、それを都度意識して記事を作っていくのがいいのではないでしょうか。

記事の質といえば、Googleが品質の高い記事を決定する上での基準である「E-A-T」(Expertise:専門性、Authority :権威性、Trustworthiness :信頼性)という話がありますが、これを自社・自分なりに解釈して、もっと深堀りしていくことが重要だと思います。

些末ですが大切な点としては、社員の記名記事で信頼感を持ってもらうというのも、質を高めるための重要な取り組みですよね。実はこれは当メディア(イノーバマガジン)を新オウンドメディアとして立ち上げた際のコンセプトの一つでもあります。

この「記事の価値のパターンを定義する」という点は正直弊社でも十分にできていなかった点なので、これからこのイノーバマガジンを育てていく中で、様々試行錯誤していきたいなと思っています。ちなみにこの記事は価値のパターンは上図でいうところの「自社独自の見解を示す」「同じテーマでも切口が他社と異なる」というところを目指して書きました。

質にフォーカスすると、PV,UUといった典型的なSEO指標以外にも、様々なものが「効果を測る指標」となりうる

近年は特にSNSの流行にみられるように、記事への流入チャネルはSEOのみではなくなっています。また「ダークソーシャル」といって、SNSのDMや鍵アカ、LINEや社内チャットツールなど、外部からアクセス不可能なところでコンテンツがシェアされることも多々あります。

ですからSEOの観点のみで数字至上主義でいると、サイトのPV/UUが伸びているかどうかでしかメディアの成否を判断できませんが、質にフォーカスするのであれば典型的なSEO指標以外にも様々なものが「効果を測る指標」となりえます。

SEO指標以外で記事の効果を測る指標

SEOで差別化を測るだけ、ということではなく、他チャネルの展開も考える、SEO上の成果だけにとらわれないことが、結果的にSEOの成果にもつながってくる、ということになるのではないでしょうか。

一方で、SEOの基盤づくりとして一定の「量」に着目した施策も重要

一方で、ここまで説明してきた質にフォーカスした記事を大量に作り続けることは難しいと思います。相応の時間とリソースを必要としますし、記事制作を始めたばかりであればまだまだ初歩的なノウハウも足りないという企業も多いかもしれません。

ですからSEOの基盤づくりのためにも、一定の「量」に着目した施策(「企業目線で」SEO施策として流入を獲得すること)も変わらず重要だと考えています。

ユーザー目線で、「量」が悪くないということも理解しておくべきで、ユーザーは常に読み応えのある記事を求めている訳ではありません。

書き手としては「面白いものを書きたい」と思うのは当然ですが、日常業務の中で、調べ物をするシーンというのは存在します。その際ユーザーは「一般的な情報をクイックに欲しがっている」わけですから、いわゆる一般的なSEO記事といいますか、用語集とかそういうものを出しておくことも大事です。SEOの評価要因として関連記事数、内部リンク数というのも大きく影響します。

ただ気を付けたいのは、基盤作りのために「量」を求めるにしても、外注会社やフリーライターに任せきりにするのではなく、戦略設計やKW選定、アウトライン部分等、肝となる部分にはなるべく自社リソースを注ぎたいという点です。このあたりは弊社のセミナーやホワイトペーパーでも解説しているので、初歩的な内容から詳しく知りたいという方は参考にしてください。

まとめ

これからの時代、競合性の激しい業界でSEOをやるのであれば、「量」ではなく「質」にフォーカスして差別化を図っていくことは、一つの強力なオプションになりうると思います。

ただし、質を追及した記事を書いていくのであれば、ある種の「覚悟」をもって取り組む必要もあると考えています。質が高いということは、ライターに丸投げできないし、自分の頭でしっかりと考えて書く必要があるからです。ライティングスキルだけでは書けなくて、日々のインプット、あるいは特定テーマについて常に考えておく、ということも日々の業務の中でやっていかなければ、質の高い記事というのは書けない、書けるようにならないと思います。この原稿も上司に何度も赤入れされました。

一方で、ユーザー目線でいうと、「量」的な記事、メディアがあることは悪いことではないので、それはそれとして作っていけば流入の基盤にもなりえる、ということも再度お伝えしておきます。

難易度が高いことを求められていると思いますが、そういう工夫を重ねていくことが重要だと思いますし、当メディアやイノーバ全体としても今後取り組みを強化していきたいなと思っている次第です。